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2013年3月 2日 (土)

御主殿復元的工事の進捗と、調査後の石垣群

日付も3月に入り、そろそろ八王子城御主殿の復元的工事も終わる頃だな…と思い、状況確認のために行ってきました。

今回はあくまでも御主殿の工事状況確認が目的なので、他の遺構には脇目も振らず、古道を通って真っ直ぐ御主殿へ…

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あちゃあ…まだ終わってないや(+o+)
手前に広がる礎石群が御主殿跡で、左奥に見える段になっている部分は会所の跡です。

暫く工事の様子を見ていたら、記録撮影をしているガイドさんがいたので「この工事はいつ頃終わるんですか?」と声を掛けてみた。やはり少し遅れているみたいだけど、ガイドさん曰く、どんなに遅くとも3月中には終わるのでは、とのことでした。

そしていろいろ教えていただいている中(そもそもこの八王子城跡全体の遺構は、何から何まで江戸時代初期に描かれた「慶安古図」によって発掘・確認されてきたそうです。それほどまでに正確で細かい図面を遺してくれていた先人に感謝!)で、気になっていた工事完成後の「殿の道」についてもお聞きしたところ、これからも通行できるとのこと。安心。

更に話は盛り上がり、この2月、市が総力を挙げて「殿の道」に残る第Ⅰ~Ⅳ石垣群の調査を実施したとのこと。それこそ使われている石の一つ一つのサイズ・形状から積み方まで…。
長い年月を経てだいぶ崩れてきているが、折角の遺構なので積み直す訳にもいかず。。。
だが、今回の調査記録により今後自然災害や人災などで遺構が崩れたとしても、少なくとも平成25年2月時点の状態には正確に修復できるようになったという。市の本気ぶりに嬉しくなりました。

そして、ここから思わぬ展開が!?
調査によって新たに土中から掘り出された石垣部分もあり、藪も取り払われたので物凄く石垣遺構が見易くなったとの話を聞き、「それは是非とも見たいですね!」と話していたら…なんと!他に見学者がいなかったこともあり、ガイドさんが特別に工事の人に交渉して立入禁止区域を通過して連れて行ってくれました!!

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第Ⅰ石垣群。何よりもここの石垣が一番感動的でした。
今まで藪や土で隠れていた部分も現れ、もう圧巻!奥の方まで何段にも別れて石垣が積まれているのが確認出来ます。

※ここから紹介していく各石垣群の調査前との違いは、私が昨年夏頃に撮影したコチラ の記事の写真と比較してみてください。
http://shmz1975.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-b0ab.html



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横の広がりも凄いです。何というかもう、、、第Ⅰ石垣群のスケールはこれ程までだったのか!と新たな発見に驚きでした☆

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段差になっていて、武者走りの様な通路?もあったんですねぇ…。

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こちらは第Ⅱ石垣群。

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第Ⅱ石垣群も真横から…

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第Ⅲ石垣群。
奥の第Ⅳ石垣群まで綺麗に見通せます。

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第Ⅳ石垣群と「式台石」

調査も終わり、今後は一切手を加えず「ありのまま」で保存するとのこと。
春になればまた樹木も生い茂って行くし、いずれまた時と共に埋もれていく。しかし、平成25年2月時点での記録は永遠に残る。。。
私はこれらの遺構保存に関して、それでいいと思いました。それが自然な姿なのだから。まさに今しかない!というタイミングで見学させていただくことができ、感無量です。

※昨年、私は市の担当者に殿の道の石垣遺構保存に関する見解を求めるメールを送ったことがあります。それに対する市の回答は「保存も含め、調査を検討している」でした。まさにこの調査を指していたのですね!

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藪が払われたことにより、石垣群(殿の道)を守るように両脇に穿たれた竪堀状の遺構も確認出来ました。

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「殿の道」出入り口付近から御主殿。
会所の横に復元されているのは枯山水。使われている石をよーく見ると、中に白っぽい石があるそうです。これは現在は地中1mに埋め戻されている当時の石と形状を全く同じようにするため、職人がセメントを吹き付けて成型したものだそうです。そこまで手をかけていたか!
(一番左の大きな石だけは当時から残る「本物」!)

※あくまでも今回、私がこの場に立ち入れたのは特別な配慮によるものであり、工事中は立入禁止です。決して勝手に踏み込んだり、ガイドさんらに無理強いすることのないよう、くれぐれもお願いいたします。工事終了を待って訪れてください。

この後、時間あるか聞かれたので「勿論大丈夫」と答えると、更に御主殿冠木門脇の通用口(下男下女たちの通用門だった場所)から、登山道の馬蹄段に繋がるルートも案内してくださいました。

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御主殿脇の竪堀。中央に見えているのは当時から残る石垣。
(左奥は復元された御主殿の石垣です)

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金子曲輪の下辺り。梅もいい感じに色づいていました♪

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最後に、太鼓曲輪方面。
あちらの尾根上にも、大きな堀切が5本残っているそうです。いつか是非とも行ってみたいですね!

ほんの散策程度の気分で出掛けたのに、いい出会いから思わぬ幸運に恵まれました。まだまだ新たな発見が沢山!何度でも訪れたい場所です♪

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