名所江戸百景「虎の門外あふひ坂」…の今
とある本で見かけた1枚の浮世絵・・・
江戸後期を代表する浮世絵師・歌川広重の「名所江戸百景」シリーズの1枚、「虎の門外あふひ坂」です。
ふと何気なく眺めているうちに、中央右に堰堤が描かれているのが気になってきました。虎の門外」で堰堤があるということは・・・あの先は溜池ですね☆
平成の現在、広重と同じ視点からの眺めがどのように変わっているのかを確かめてみたくなり、現在の地図と江戸期の古地図をじっくりと見比べてみました。すると・・・
町の区画だけでなく、今は埋め立てられて跡形もないと思っていた溜池のラインに至るまで、想像以上に現在の道路区画に残っていることに気付きました!
それぞれに対応する箇所を同じ色のラインで示しています。
水色で塗った部分が溜池(と外堀)です。特に北側のM字曲線とか、見事に現在の道路と一致していますよね♪
そして、地図を見比べながら浮世絵に描かれた堰堤を〇部分と特定し、描かれたアングルから広重が立っていた位置を★地点と見定め、早速現地へ向かいました。
それがこの写真↓
「虎の門外あふひ坂」の今…
ちょうど古いビルを壊して工事中だったので見通しがきいていました。
写真左手前、虎の門病院(切れちゃって殆ど写っていませんが…)からJTビルにかけての坂が「あふひ(葵)坂」です。
今では地形も削られて、すっかり緩やかな坂になってしまっていますが・・・(^_^;)
そして中央奥の信号が見えている辺りに、件の溜池堰堤が築かれていた筈です。。。
林立するビル群に隠れて見えませんが、浮世絵に描かれた右奥の建物が建っている丘、あの丘の地形は今でもハッキリ残っています。
ほら、特許庁付近や、、、
「溜池」交差点からも高低差がハッキリと確認できますよね♪
あの高台の上、樹木が生い茂っている場所は総理大臣官邸になっています。
こうした地形を利用して外堀を堰き止めて溜池を築き、この水が、特に上水が整備される以前の江戸市民の生活を支えていたのですね。
ついでにもう1枚。
同じく名所江戸百景の一つ、「糀町一丁目山王祭ねり込み」。江戸城半蔵門の土橋を向こうに見た構図です。こちらは全く同じですね☆
※糀町=麹町
更に・・・
「湯しま天神坂上眺望」
湯島天神の女坂上からの1枚です。これ以上後ろに下がるスペースがなくてアングルを揃えることはできませんでした。
今となっては不忍池を眼下におさめることは叶いませんが・・・石段と鳥居、建物の位置関係が全く同じでした♪
時空を超えて広重と同じ場所に立ち、同じアングルを眺める・・・これ、案外楽しいです♪
これからも折を見て続けます(笑)
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