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2014年1月20日 (月)

鎌倉古道を歩く…町田市に残る「上道」を求めて

先週に引き続き、今回も鎌倉古道を歩きます。
いくつか確認されている鎌倉街道(鎌倉往還)の中でも、今回は鎌倉と北関東を結ぶ主要道であったと推定されている「上道」を探索します。

朝9時、JR町田駅でこれまた先週に引き続きフォロワーのなっちさんと待ち合わせ。まずはバスでスタート地点へ。

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ちなみに今回の行程はこんな感じ。菅原神社からスタートし、赤いラインに沿って北上します。

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スタート地点の菅原神社。

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この菅原神社、その昔には井出の沢城という城館(砦?)があったらしく、境内の周囲には土塁跡らしき形状も確認できました。

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あの辺りが井出の沢城の主郭推定地。

そしてこの井出の沢の地、鎌倉幕府最後の執権・北条高時の遺子・時行が信濃で挙兵して関東を南下、最終的に鎌倉を20日間程占拠した「中先代の乱」での古戦場の一つでもあります。

建武2年(1335)、女影ヶ原(埼玉県日高市…参照)→小手指ヶ原(同所沢市)で続け様に鎌倉将軍府(建武政権)の軍を打ち破った時行軍は鎌倉街道上道を更に南進し、ここ井出の沢で足利直義(尊氏弟)率いる軍勢と激突しました。
この合戦で直義軍をも敗走させた時行軍は勇躍、鎌倉へと進軍したのです。。。

という訳で、我々は時行軍とは反対に鎌倉街道上道の古道跡を井出の沢から北上します。

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菅原神社から歩き始めてすぐ、古道は養運寺や宏善寺(写真)といったお寺の門前を通り、、、

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こんな住宅街を抜けていきます。分かり辛いですが、なかなかニクいクランク♪(笑)

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更に日向山公園の脇を抜け、、、

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「今井谷戸」交差点で交通量の多い現在の鎌倉街道と交差します。
古道を行く我々はあちらの、コンビニ左脇の道へ進みます。この辺りから登り勾配となり、七国山に差し掛かります。

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立派な門構えのお宅が多いのも、古街道の特徴の一つ。

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七国山中腹辺りで「町田ダリア園」の前を過ぎ、、、

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この分岐点ではどちらに進むべきか迷い、通り掛かった地元のお爺さん(白い背中)にお訊ねしたところ丁寧に案内してくださいました☆

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山頂付近でいよいよ雰囲気のある道に入り、、、

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新田義貞が鎌倉幕府討伐軍を進めている時に掘らせたとの伝承がある鎌倉井戸七国山鎌倉街道の碑(地図1

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ここから先は下り始めたので、丁度この辺りが七国山の山頂になるかと思います。

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鎌倉古道は再び舗装路から外れて下り始めます。

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鎌倉~高崎間を結ぶ鎌倉街道上道・・・いつか完歩してみたい?(笑)

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山道を下り始めてすぐ、左手に三段で構成された削平地が広がっていました。
部分的に土塁らしきものも残っており、往時には何らかの施設があったものと思います。

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しばらくすると、今度は分かれ道に遭遇しました。
分かれ道と言っても並行して通っていたので、本道と支道でしょう。

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左が支道、右下の明るい部分が本道と思われる道。

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ここの支道も綺麗な堀割状遺構が残っていますねぇ…♪

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そして、度胆を抜かれたのがこの先、右手の竹藪の中。。。

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なんと、幅が優に20m以上はあろうかという大きな堀割状遺構が!
この写真はその堀底の真ん中で撮影しているのですが、幅が広過ぎて両サイドが収まり切らない…(笑)
もはや「道」というスケールではないです。一体何の為にここまで掘り広げたのでしょうかねぇ…?

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巨大な堀割状遺構を抜けた先。写真正面の竹藪が先ほどの巨大堀割状遺構です。
鎌倉古道はここに繋がり、、、

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舗装路となって更に続きます。
右側の土手も堀割状遺構の名残かもしれませんね。

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かつては板橋が架かっていたという丸山橋を渡って鶴見川を越えて、、、

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野津田公園方面へ。

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道端で見かけました・・・文政年間に設置されたみたいです。

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そこから少し進んだ先。車道から逸れていく歩道の左側・・・何か匂いませんか?

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はい、こちらにも堀割状遺構が明瞭に残されています!(地図2

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舗装された遊歩道が付けられていますが、鎌倉古道は左側の窪みの中。
左の切岸の高さを見ていただければ、その深さもお分かりいただけるはず☆

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堀割状遺構は30m程で途切れ、公園の敷地に入っていきます。

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公園に入って後ろを振り返った様子。正面の茂みが先ほどの堀割状遺構。
ちょうどこの杭のラインに沿って道が繋がっていたようです。

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そしてこの公園の広場、ここも巨大堀割状遺構。
両サイドが切岸状になっていますね。それにしても…グラウンドがスッポリ収まってる(笑)
やはり、町なり何らかの施設なりを作るための土木の跡なのでしょうね。

さて、野津田公園を抜けると小野路に入っていきます。
江戸時代、近世以降の鎌倉街道(古道)は当然のことながら小野路宿を通っていくのですが、中世以前の鎌倉古道は小野路宿の裏山尾根辺りを通っていたと推定されているので、我々もそちらへチャレンジしてみることにしました。

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その裏山に分け入る手前で見かけました。どちらの柳生さんでしょうか…?

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なかなか道の遺構は見つけられなかったのですが、彷徨っているうちにこんな痕跡があったり、、、

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明らかに人の手が加えられた規模の大きな痕跡が随所に見受けられました。
「何だかお城(の遺構)みたいだよね」などと話していたのですが、後で知ったところによると本当に城跡と考えて小野路関屋城と呼んでいる研究者の方もいるようです。

・・・そして更に。
我々は分からないうちに入り込んでしまいましたが、この小野路宿の裏山一帯は私有地が多く、立入禁止になっていたようです。なので、ここまで紹介しておいて何ですが、良い子は真似しないでね☆(笑)

さて、結局山の中では鎌倉古道の痕跡を見つけることができず、ウロウロしているうちに先日一人で歩いた「布田道」に出たので、、、

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関屋の切通し、再び!(笑) (地図3
ここで一旦古道歩きを離れ、小野路城に向かいました。

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その道すがら。
廃仏毀釈のためか、大きなお地蔵さんは全て頭が失われていました・・・。

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小野路城の主郭
土塁がグルッと廻らされています。

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こちらは二の丸

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そして三の丸

サクッと観て回ったところ、特にこれといって技巧的な遺構はなく、自然地形を利用した城跡といった印象でした。
関東に残る城跡の中でも最も古い時代のものに属するみたいなので、さもありなん、ですね。

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小野路城跡のすぐ近くにある小町井戸
その昔、小野小町が病に罹った折、この山に千日籠ってこの湧き水で目を洗ったところ、病が癒えたという伝説からこの名前が付いているのだとか・・・。

そういえば小野路の「小野」も、平安時代に武蔵国司として赴任してきた小野孝泰を初めとする小野一族(武蔵七党、横山・猪俣党の祖か?)に関係があるみたいですね。
その孝泰によって創建されたと伝わる小野神社の祭神は小野篁。孝泰の先祖であり、小野小町の祖父にあたる人物です。
まぁもっとも、篁や小町の代に武蔵国に所縁があったかどうかは甚だ疑問ですが…(^_^;)

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小野路城跡の説明版・・・割れてる。

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小野路城からは小野神社の方へ迂回して小野路宿へ戻ります。
このルートは、鎌倉古道から離れて小野路城に向かうための道だったのではないかと考えられているそうです。
綺麗な切通になっています。右手の上は乗越八幡跡。

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道祖神も♪

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こちらが件の小野神社。

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そして小野路宿。こちらの通りが近世以降の鎌倉古道。
※「大山詣で」の為の道としても使われた為、江戸時代には「大山道」とも呼ばれました。

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今回の鎌倉古道歩きもラスト・スパート!
鎌倉古道と布田道が交差する関屋の切通し地点を過ぎた辺り。

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お!またいい雰囲気になってきました♪

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典型的な堀割状遺構☆

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更に進むと道幅が狭くなった堀割状遺構。こちらも素敵♪

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こちらの舗装路に繋がり、、、、

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恵泉女学園大学の裏を抜け、、、

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都道に出た所にあった碑。ここまで辿ってきた道が鎌倉古道上道であった何よりの証に思えて、少し嬉しくなりました♪

これにて今回の古道歩きも終了です!
またそう日を置かずに古道歩き(特に峠路!)にチャレンジしたいと思います☆

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