蜻蛉切 & 一文字の太刀
11年ぶりに蜻蛉切が公開される、との情報を得たので、、、
早速、静岡県三島市にある佐野美術館へ。
平成27年1月9日~2月15日まで「ひとの縁は、ものの縁」と銘打ち、沼津の実業家だった矢部利雄氏(故人)が築き上げたコレクションの数々を公開しています。
蜻蛉切も、そんな矢部コレクションの一つ。
個人蔵のため、これまでなかなか公開されることはありませんでした。
蜻蛉切
(大笹穂槍 銘 藤原正真作)
徳川四天王の一人で「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」と謳われ、織田信長からも「花実兼備の勇士」と讃えられたと云う本多平八郎忠勝。
蜻蛉切はその本多忠勝愛用の槍で天下三名槍の一つにも数えられます。戦場で槍を立てていたところ、飛んで来た蜻蛉が当たって二つに切れたという逸話から「蜻蛉切」の号が付きました。
実物を拝観すると、想像していたよりもずっと細身(最大幅3.7cm)で且つ美しく、繊細なイメージすら抱きました。豪勇で鳴らした忠勝のイメージとは、少しギャップがあるような…。
しかし穂先は怜悧なまでに研ぎ澄まされており、蜻蛉が当たっただけで切れたというのも、さもありなんという印象でした。
梵字はそれぞれ「カ」「キリーク」「サ」というもので、順に地蔵菩薩、阿弥陀如来、観音菩薩を表すそうです。
また、刀剣のような文様は「三鈷柄剣」といい、よく不動明王が手にしている密教法具なのだそうです。魔を打ち砕き、煩悩を払う力を持つとか・・・。
己の命を懸け、数多の戦場を往来した本多忠勝。手にするその槍に刻んだものの意味するところとは・・・深いですね。
同展には他に、織田信長が長篠合戦の褒美で奥平信昌に与えたと云う;
一文字の太刀(国宝)
(太刀 銘 一)
も展示されていました。
荒々しいまでの刃文が美しく、その文様はどことなく、やはり信長が黒田官兵衛に与えた「へし切」に似ていると感じました。
ミュージアムショップで蜻蛉切と一文字の太刀の絵葉書を購入。
展示されているコレクションは刀剣に限らず、漆工・金工・陶磁器・絵画など多岐に渡りますが、この二つを拝観出来ただけでもう感激です☆
敷地から通りを挟んで向かいには、貴重な梅花藻の繁殖地もあります。
ちょっとピントが合っていませんが、よ~く見ると小さな花がちゃんと咲いていましたよ♪
折角なので少し足を延ばして沼津港へ。
雲を被ってしまっているけど富士山もよく見えました。…が、立っているのも困難な程の強風が吹き荒れ、海は大シケ。寒かった~
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