岐阜城の石垣発掘現場
岐阜城の天守台北西隅や二ノ門下から出土した石垣が、2020年1月14~18日の間だけ一般に公開されると聞き、矢も楯もたまらずに東京から日帰りで駆け付けてしまいました。
在来線や路線バスへの乗り継ぎも順調に進み、予定よりも早く到着したので、まずは山麓居館区域を散策。
上の写真は、金箔瓦なども出土したC地区の池跡越しに、巨石が並べられた居館虎口方向。
居館部の中枢、宮殿のような建物が建っていたのではと考えられているC地区。
C地区の奥、谷の方へ入り込んだB地区。
こちらからも建物や水路、庭園跡が出土しているようです。
C地区とB地区の間に並べられた巨石列。
続いてA地区へ。
A地区では現在、調査結果に基づいて庭園の滝を再現する実験が実施されています。
滝の再現。
向かって右の滝は、水量も結構ありました。
令和2年12月末まで、9~17時の毎正時に15分ほど水が流されます。
発掘の結果、実際にこうした滝の水受けと思われる川原石の集石が見つかっているそうです。
専門家の中には岩盤の上に水源がないとの理由から、滝の存在に懐疑的な意見もあるようです。
しかし山麓居館には今もこうして、槻谷から豊富な水が流れ込んでいますし・・・
多くの池や水路跡(写真)も見つかっているように、豊富な水源の下に水をふんだんに利用していたことが窺えます。
山の高い位置で槻谷の水源から樋を回すなどすれば、A地区に滝を演出することも可能だったのではないかと、私のお城仲間の方もtwitter上で提示されていましたが、私も同意です。
川原石の集石など、滝を連想させる遺構が見つかっている以上、水源問題はその存在を完全に否定し去るほどの要件は満たせていないのではないでしょうか。
さて、それでは山上へ向かいます。
ロープウェイ乗り場では、モックン道三がお出迎えw
岐阜城 山上部の図
一ノ門
一ノ門に残る石垣
堀切(切通)を横目に通り過ぎ・・・
二ノ門下の発掘現場へ。
裏込め石もたくさん出ており、野面に積まれた様子から織田信長入城以降の石垣と推定されています。
二ノ門下から出土した石垣は、江戸時代の絵図にも描かれています。
ピンクのテープが石垣の推定ラインで、出土した石垣自体はごく一部です。
高さも50㎝ほどしか残っていなかったようですが、江戸期の絵図には「石垣高一丈(約3m)」と書かれています。
瓦もたくさん出土したようで、瓦葺の門があったのではないかと考えられています。
下台所曲輪への虎口となるニノ門には、他にも大きな石材で積まれた石垣があり、重要な門だったことを窺わせます。
下台所曲輪
下台所から上台所へと至る途中に積まれていた石垣。
平たい石をほぼ垂直に、あまり勾配をつけずに積み上げている特徴から、こちらの石垣は道三ら斎藤期のものではないかと思いますが、いかがでしょうか。
いよいよ天守が近づいてきました。
天守台北西隅の発掘現場へは、あちらの足場を上って向かいます。
天守台北西隅から出土した石垣。
裏込め石や間詰石も確認できます。
こちらも斎藤期の(とされている)石垣にはない野面積みの特徴で、信長の入城(1567)~1600年の廃城までの間に築かれた石垣と考えられます。
江戸期の絵図とも一致するようなので「天守台の石垣」という位置づけで問題はないのでしょうが、それが即ち「信長在城時=安土築城以前の天守台」ということにはならないかと思います。
こうして見ると本来の石垣の北面は、明治43年に復興天守建造のために築かれた天守台(奥)よりも、50㎝ほど南へ引っ込んでいたようにも見えます。
あの黒い壁の向こう側にも回り込んでみましたが・・・
やはり改変が著しく、実際の石垣がどのように続いていたかは判然としませんでした。
なお、発掘調査は岐阜城資料館の南斜面でも行われていますが、そちらは非公開でした。
やはり、石垣と裏込め石を確認しているとのことです。
リニューアルされた天守内部の展示も観てから・・・
裏門跡へ。
裏門跡
右手前に、上の復元イメージ図Aの巨石列が倒れた状態で見えています。
現在の登山道を挟んだ反対側にも巨石列。イメージ図のB部分と思われます。
右寄りの尖った石は、石垣の角とのこと。
門の周囲に集中して巨石を連ねる趣向は、山麓居館とも通じるものがありますね。
イメージ図Cの石垣。
こちらは斎藤期のものと推定されています。
最後に天守の南下、井戸上の石垣。
下山後は岐阜市歴史博物館に開設された「麒麟がくる」の大河ドラマ館にも立ち寄り。
諸事情で放映開始は遅れましたが、キャストの皆さんには頑張っていただきたいと思います。
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