伊豆の国市で北条めぐり

今回は静岡県伊豆の国市で、鎌倉時代の執権・北条氏ゆかりの地をいくつかめぐります。


まずは、南江間の北条義時館跡。
現在の江間公園一帯にあたります。この地に屋敷を構えたことから義時は「江間小四郎義時」とも呼ばれています。


義時館跡のすぐ南西に建つ北條寺。


北條寺は義時によって創建されました。


境内墓地横、小四郎山と呼ばれる小高い丘を登ると・・・


北条義時夫妻の墓所があります。
後に名執権と称えられる義時の長子・泰時によって建てられました。


こちらは室町期、堀越公方の居所兼政庁が置かれていた堀越御所跡。
京の将軍・足利義政の意向を受けて、古河公方に代わる新たな鎌倉公方として下向したものの、享徳の乱で敵対する古河公方方の勢力に阻まれて関東（鎌倉）に入ることができなかった足利政知が構えました。
古河公方に対して、堀越公方と呼ばれることになります。


御所の背後（南）には、詰め城とも伝えられる守山城。

政知の死後、その後継を巡る混乱に乗じた伊勢宗瑞の襲撃を受け、堀越御所は陥落します（明応2年／1493）。
伊豆から追放された政知の子息・茶々丸は、その後も伊豆奪回の機会を窺っていたようですが、結局は宗瑞に追い詰められ、明応7年（1498）に自害して果てています。


堀越御所跡のすぐ近く、北条政子産湯の井戸。
政子誕生の折、その産湯の水を取ったとされる井戸です。


守山の北麓、北条氏邸跡。
鎌倉幕府滅亡後には、8代執権・北条貞時の妻が遺された北条氏の子女救済と一族の供養のため、円成寺を建立しています。


北条氏邸前から、狩野川越しに江間を望む。


北条氏邸跡からは建物跡や井戸、池跡などの他、かわらけなども出土しているようです。


実際に建物がどのようにして建っていたのか・・・そのイマジネーションを助けるための案内板かな？


北条氏邸跡から守山に登ります。
2～3分ほども進むと、とても気になる平場がありました。左奥は完全に切岸に見えます。


山頂すぐ手前の分岐点。


まずは展望台のある山頂へ。


森山山頂展望台からの眺め。
本来であれば左側に富士山が見えているはずなのですが・・・残念！


下山は、真珠院方面へ下っていきます。


どれもこれも、巨大な堀切と見紛うばかりの急勾配なアップダウンが続きます。


しばらく進んだ先に架かる木橋・・・間違いなく堀切ですね。


更にその先で、ふと左へ目を向けると・・・ありますね。


こちらも間違いなく堀切。
守山城がいつの時代まで使用されたのかはわかりませんが、中世の詰城というよりはむしろ、戦国期の限定的な城砦といった印象を受けました。
豊臣秀吉の小田原征伐時に於ける、韮山城攻めに関連しているのでしょうか？


スズメバチの威嚇攻撃を受け、駆け足で九十九折れの登山道を下り切った後は真珠院へ。


山門を潜ったすぐ右手、八重姫御堂。


父・伊東祐親によって頼朝との仲を裂かれ、真珠院の南側にあった真珠ヶ淵に身を投げたと云う八重姫を祀ります。


書かれてある通り、八重姫が入水した時、せめて梯子があったなら救うこともできたのに、という里人たちの思いから、今日では願いが叶ったお礼参りに小さな梯子を奉納する習わしになっているそうです。


続いて願成就院へ。
文治5年（1189）、奥州藤原氏征伐の戦勝を祈願して、北条時政が創建しました。


念願だった運慶作の；
阿弥陀如来坐像
不動明王と二童子の三尊立像
毘沙門天立像（一説には北条義時がモデルとも？）

そして、有名な北条時政肖像や北条政子地蔵を拝観したまではよかったのですが・・・


暑さにやられ、早く車に戻ってエアコンで体を冷やすことしか考えられなくなっていた私は、あろうことか北条時政・足利茶々丸の墓参をすっかり失念してしまいました・・・この旅で唯一の後悔。


最後に大河ドラマ館にも立ち寄りました。

付近には他に蛭ヶ小島や山木兼隆の館跡などもあるのですが、数年前に訪問済みなので今回はパスして帰路に就きました。