前編からのつづきです。

比屋定バンタから尾根続きのような細い道をしばらく走ると・・・いよいよ眼前に宇江城城が迫ってきました。
逆光になってしまいましたが、肉眼では麓からでもはっきりと石垣が確認できました。

久米島の最高峰・宇江城岳(310m)に築かれた
宇江城城。
これほどまでに典型的な「山城」といった立地のグスクを、私は初めて目にしたかもしれません。
それもそのはず、宇江城城は久米島のみならず、
沖縄県内でも最高所に築かれたグスクなのだそうです。

三の郭とされる場所に車を停め、二の郭、一の郭と観ていきます。

二の郭から見上げる、一の郭の石垣。
グスク特有の曲線美が天空にそびえ、とにかく見栄えがします。

足元の一段下、主郭部の外縁にも城壁らしきものが見えていました。

一の郭から二の郭、及び三の郭(駐車スペース)を見下ろす。

一の郭の城壁

一の郭

一の郭の城壁際にあったこちらは・・・貯水施設でしょうか?拝所??
伊敷索按司の長男・久米仲城(クメナカグスク)按司によって築かれたと云う宇江城城。
伊敷索一族の繁栄を支えたことと思いますが、16世紀初頭には琉球王国からの遠征軍の攻撃を受け、激しい抵抗の末に
落城しています。

宇江城岳から下山した後は、すぐ北にある県立自然公園へ向かい、遊歩道で断崖を海へ向かって下りていきます。
海面が近づいてくると、目的のものも見えてきました・・・
天宮城(アンマーグスク)
柱状節理を横にしたような地質の奇岩で、石垣を積んだような岩肌をしていることからその名で呼ばれます。

天宮城を下から。
かなり海風の激しい場所で、風の浸食による形状であることは、容易に想像がつきました。

そのまま海岸まで下り切り、もう一つの奇岩で名勝にも指定されている「タチジャミ」にも向かおうかと思いましたが、思いの外距離がありそうで、後の行程を考えてパスすることとなりました。
ミーフガー(女岩)
風や波による浸食でできた奇岩で、子宝に恵まれない女性にご利益があると崇められてきたのだそうです。
我々の目指す具志川城跡の目の前にありましたので、ちょっと立ち寄ってみました。

そして
具志川城。

具志川城は真達勃(マダフツ)按司によって築城されたと伝えられます。

具志川城の城壁のずっと先に、先ほどのミーフガーも見えています。

あちらの城門から城内へ入ります。

三の郭から城門を振り返る。

四の郭(手前)から三の郭方向。奥に城門。
郭間を低い石垣が横切ります。

この仕切りの石垣は二の郭(写真奥)の石垣まで伸び、二・三・四の各郭を仕切る石垣がT字のようになっています。

二の郭から三の郭方向。
真達勃の子・真金声(マカネゴエ、マカネクイ)按司が城主の時代、久米島で勢力を伸ばしつつあった伊敷索按司の次男・真二古樽(マニクダル)按司によって攻められ、具志川城は
落城します。
真金声按司は沖縄本島南部の喜屋武岬近くの地へ逃れ、そこに城を
築いて郷里と同じ名をつけたと云います。
(
参照記事)

糸満市の具志川城も久米島のものも、共に海に面した段丘・断崖上という立地で、船を係留できる岩場の存在も確認されています。
全体的な構造、雰囲気もどことなく似ているように感じました。
昨年、糸満市の具志川城を訪れてその成り立ちを知り、それならば
真金声按司が元いた久米島の具志川城にも行ってみよう、となったのが今回の旅のきっかけ。
とても素晴らしい城跡で、訪問が実現して本当に良かったと思います。
さて、久米島での最後の行程は、ちょっと
変わり種で・・・

こちら、
おばけ坂。
平成2年頃、ギアをニュートラルに入れて停車していた車が、何故か
上り坂に向かって進むという現象が起きたことから話題になったそうです。

先頭で屈んでいる同行者のいる辺りが坂の鞍部。
その先は上り坂に見えるのに、何故かニュートラルの車が進む、というのですが・・・。
現地の案内板には、周囲の風景や勾配などで引き起こされる錯覚ではないか、ともありましたが、実際に歩いてみた体感では錯覚でも何でもなく、上り坂だったような・・・?
※後日、某動画サイトで検証している動画を観ましたが、写真のガードレールの先は下り坂だったようです。我々も錯覚を起こしていたのですねぇ・・・。
なお、案内板には島の古老の言い伝えとして、宇江城城の攻防で命を落とした兵士の霊が、戦場だったこの辺り一帯を彷徨って引き起こしている現象ではないか、ともありました。
日帰りとはいえ、とっても満喫しました、
久米島!

さ、那覇へ帰りますか☆
空港でフライト時間を待ちながら何気なく海を眺めていると、偶然にも遠目に
鯨のジャンプする姿を目撃しました!
きっと鯨もお見送りに来てくれたのでしょうね。いい久米島旅の締め括りになりました♪

無事に那覇へ戻った後は、昨年もお邪魔したこちらのお店で乾杯☆
お料理がどれも美味しく、アットホームでとても雰囲気のいいお店です。好物の人参シリシリも堪能しました。